アルゲンティア戦記
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RELATION人物相関図
人物6
クオ
人物存命神授の儀で《無印》と判定された十五歳の孤児。父の死を知ったのち、十五年暮らした村を捨て、丘を越えて広い街道へ——誰も自分を知らない外の世界へと踏み出す。
別名: 無縁仏の子
アルゲンティアの辺境の村に生まれ育った少年。両親を知らず、村はずれの納屋で独り暮らし、村人からは「無縁仏の子」と呼ばれて空気のように扱われてきた。
十五歳の《神授の儀》で授かったのは、何も書かれていない空白——《無印(ナル)》だった。神は一行の判決文すら記さず、クオはこの国の物差しで『人間ですらない何か』とされ、村に居場所を失った。
村を出ようとした夜、村はずれの忘れられた古井戸の底から、老女の声がクオの名を呼んだ。声は、クオには父がいたこと、その父もまた《無印》であったこと、そして父は村もろとも一夜の火に焼かれて灰となり、クオだけがその灰からこぼれ落ちた唯一の生き残りであることを、少しずつ明かした。なぜ村が焼かれたのか、なぜ自分だけが生き延びたのかは、まだ分からない。
四つの問いを胸に抱えたまま、クオは十五年暮らした村を捨て、丘を越えて広い街道へ出た。あの村の烙印が届かない、誰も自分を知らない世界へ。その空白の手に、これから何を書くのか——それは、まだ誰も知らない。
関係
変遷
- 神授の儀で無印と判定され、村の前で人間ですらないと裁かれた。
- 夜明けに古井戸へ引き返し、声に父を問い質した。父の実在と死、そして父もまた無印であったことを知る。
- 父の死に方を問い質し、父は火で死に、村がひとつ一夜で灰になったこと、その灰から自分だけがこぼれ落ちたことを知る。なぜ自分だけが生きているのか、新たな問いを抱いた。
- 十五年暮らした村を捨て、丘を越えて街道へ出た。あの村の烙印は外には届かない。誰も自分を知らない世界へ、灰の重さを抱えて歩き出す。
クオの父
人物故人クオの父。すでに故人。井戸の声いわく、クオと同じ《無印》で、村もろとも一夜の火で焼け死に、灰の下にあるという。名も、火の理由も、まだ明かされていない。
クオの父。クオ自身は一度も会ったことがなく、その存在すら知らずに育った。
井戸の底の声によれば、確かにこの世に在った男であり、クオと同じ《無印》であった。
その死に方も、声が明かした。火である。ある一夜、その父が暮らした村は、家も畑も人も、何もかもが焼け落ち、ひと晩のうちに灰になった。父はその灰の下にあり、墓も、骨も、名を刻む石もないという。
しかし、誰が・なぜその村を焼いたのか、そして同じ灰の中からなぜクオひとりが生き延びたのかは、まだ語られていない。声は『順序がある』とだけ言い、それ以上を明かさなかった。
関係
変遷
- 第六話で、井戸の声によってその存在が初めて明かされた。実在し、すでに故人で、クオと同じ無印であったとされる。
- 第七話で、その死に方が明かされた。火で——村もろとも一夜で焼け、灰となった。墓も骨もなく、灰の下にあるという。
セレネ
人物存命井戸の声(老女)
人物存命忘れられた古井戸の底からクオの名を呼んだ声。正体は不明。クオの父と、その死、焼けた村について確かな何かを握っているが、核心は『順序がある』と小出しにする。
関係
- ← クオ — 警戒している(声の語ることを『都合のいい救いは罠』と疑い、即座には信じない。ただ、声の言葉に繋ぎ止められ、その場を立ち去れずにいる)
変遷
- 古井戸の底からクオの名を呼び、「十二年待った」と告げて初めて声を現した。
- 誰何したクオに応じたが、名も正体も明かさず『順序がある』と問いをはぐらかした。去り際『お前の父は——』と言いかけて口を噤み、クオに初めて父の存在を意識させた。クオを縛らず、『無印は欠陥ではない』と告げて退いた。
- 夜明けに戻ったクオの問いに応じ、父の実在と死、そして父もまた無印であったことを明かした。ただし父の名・素性・死の経緯は『順序がある』と語らず、『また来い。井戸は逃げん』と退いた。
- クオの問いに応じ、父は火で死に、村がひとつ一夜で灰になったこと、クオだけがその灰からこぼれ落ちたことを語った。だが誰が・なぜ焼いたかは『順序がある』と退け、『また来い。井戸は逃げん』と去った。
旅商人
人物存命街道で出会った四十がらみの旅商人。荷馬車で宿場町を巡る。ぬかるみに車輪を取られて立ち往生していたところをクオに助けられ、礼に乾いたパンと革袋の水を分けた。クオを「坊主」と呼び、宿場町まで荷運びを手伝えば乗せてやると申し出た。
街道で荷馬車を駆る旅商人。四十がらみの、ずんぐりとした体つきの男で、日に焼けた、人の好さそうな、しかし抜け目のなさそうな顔をしている。
荷の車輪をぬかるみに取られて立ち往生していたところを、通りかかったクオに後押しされて切り抜けた。礼として乾いたパンと革袋の水を分け、クオの素性を深くは詮索せず、ただ「坊主」と呼んだ。宿場町までの荷運びと引き換えに、同道と駄賃を持ちかけている。
クオが村の外で初めて言葉を交わし、初めて手から手へ糧を受け取った相手である。
変遷
- 第9話で初登場。街道のぬかるみで荷車の車輪を取られていたところをクオに助けられ、礼に乾いたパンと水を分けた。クオを「坊主」と呼び、宿場町への同道と荷運びを持ちかけた。
老神官
人物存命場所2
クオの村
場所焼けた村
場所クオの父が暮らし、ある一夜、家も畑も人も何もかもが焼けて灰になった村。名も場所も、まだ明かされていない。クオはこの灰の中からただひとりこぼれ落ちたとされる。
クオの父が暮らしていたとされる村。
井戸の底の声によれば、ある一夜のうちに、家も、畑も、人も、犬も、何もかもが焼け落ち、灰の野と化したという。クオの父もその灰の下にある。
そして、その灰の中から、ただひとりこぼれ落ちた火種——それが、村はずれの納屋に残されていた赤子、クオであったらしい。
村の名も、どこにあったのかも、何より誰が・なぜ焼いたのかは、まだ明かされていない。
関係
- ← クオの父 — 暮らした(父はこの村に暮らしていた。村は一夜の火で焼け、父も灰の下にある。声が語った伝聞で、村の名も場所もまだ不明。)
変遷
- 第七話で、井戸の声によってその存在が語られた。父が暮らし、一夜で焼けて灰になった村。クオはその灰からこぼれ落ちた唯一の生き残りとされる。
勢力1
村人
勢力用語1
無印(ナル)
用語最下層の格。何も書かれていない空白のスキル。第一話時点では「ただの空白」としか認識されていない
神授の儀で何も授からなかった者に下る判定。手に一行の文字すら結ばれない、空白の結果。格序列の最下層に置かれ、村では「人間ですらない何か」と見なされる。第一話の時点では、ただ神に見放された欠落としてしか認識されていない。
世界ルール1
神授の儀
世界ルール15歳で神からスキルを授かる年一度の儀式。授かった格が生涯の席次を決める。
アルゲンティアで、十五歳を迎えた子供が神からスキルを授かる、年に一度の儀式。神官の詠唱で水晶が光り、子供の手に一行の「判決文」=スキルが結ばれる。授かる格がそのまま社会での席次を決め、人はその一行を抱えて生きる。白紙で終わる者はいないとされてきた。
変遷
- クオに対し、史上例のない「何も結ばれない」結果を示した。